計量技術情報 【計量豆知識 第7回】

1.ロードセル印加電圧は高いほどいいの?

 お客様からよく「ロードセルの印加電圧は高いほうがいいのですよね。」と尋ねられます。そのようなお客様は、大抵電気の知識もお持ちの方で、 「ロードセルの印加電圧が2倍になれば、比例して出力電圧も2倍になり、その結果S/N比(信号とノイズの比率)が上がり、指示値のばらつきが半分になるはずだ。」 と理論的にご指摘されます。

 うーん。またちょっと苦手な質問をされてしまった。と、いつも思います。 このことについて説明すると、よくお客様に「煙に巻かれたみたいだ。」と言われるからです。 確かにお客様の言っておられることは、原理的に間違っていません。ただ、ロードセルにはそれだけでは済まない理由があるのです。

 さて、ここでオームの法則の問題です。 100Ωの抵抗に5Vを印加した場合と10Vを印加した場合に、各々の電力はいくらでしょうか?

 答え P(電力) = V2/R ですから、
  5Vのとき・・・・ 5*5/100 = 0.25W
  10Vのとき・・・・ 10*10/100 = 1W

 このように、印加電圧の2乗に比例して電力は増加します。つまり、2倍の印加電圧では4倍の発熱を伴います。 そのため、各メーカーともロードセルの最大印加電圧を規定しています。その電圧を超えて印加すると、焼損などの恐れがあるからです。

 また、電力による温度上昇は、ロードセルと外気との間に温度差を生じさせます。それが風を発生させます。熱いコーヒーカップの上にゆらゆらと湯気が立ち上るのと同じことです。この風がロードセル表面の温度に揺らぎを与え、ロードセルの素材(アルミニウム、鉄など)の表面が膨張したり収縮したりします。それを歪ゲージが検出してしまいます。その結果、指示値に揺らぎを生じてしまいます。 また、発熱量が多いときは外部からの僅かな風によってもロードセル表面に温度のむらを生じ、指示値の揺らぎを発生させることがあります。

 「それでは、ロードセルの印加電圧は低い方がいいの?」 これもまたなんとも言えず困ってしまう質問です。 ロードセルの印加電圧が小さければ、出力電圧が小さくなるので、周囲のノイズなど外乱を受けやすくなるのも事実です。 「じゃあ、どっちなの?」 印加電圧が小さくなってノイズの割合が増えても、それを除去できるだけのフィルタがあればいいのです。印加電圧が半分になってノイズの割合が2倍に増えても、ノイズを除去するフィルタの性能が2倍以上に上がればその方が良いというわけです。

 このような背景から、エー・アンド・デイでは新しいタイプのウェイングインジケータは、ロードセル印加電圧を5Vに下げています。 それに、消費電力が少ない方がエコですよね。