計量技術情報 【計量豆知識 第2回】

1. ロードセルの接続確認

 ロードセルケーブルを配線したあと正しく接続できたかどうかチェックしたいと思ったことありませんか?

 ロードセルの配線は、デジタルマルチメータがあれば簡単に確認することができます。
図は、一本のロードセルをインジケータに接続したとき確認する測定箇所です。 複数のロードセルを和算箱を使い接続している場合も和算箱の内の端子台で同様に測定が可能です。

図 ロードセル接続確認方法

図 ロードセルの接続確認方法

表 ロードセルの接続確認の測定内容
測 定 箇 所 測 定 内 容 備   考
EXC+ SEN+ ロードセルケーブルのEXC+側の電圧降下 通常100mV以下になりますが、極端に長いロードセルケーブルの場合、1Vを超えることがあります。
4線式の場合は、SEN+に何も接続されていませんので0Vでなければなりません。
EXC+ EXC- ロードセル印加電圧 ウェイングインジケータの機種によりますが5Vや10Vの機種が主流です。
インジケータの印加電圧の仕様を確認してください。
SEN- EXC- ロードセルケーブルのEXC-側の電圧降下 EXC+、SEN+間と同様な値となります。
SIG- EXC- ロードセルの中点電圧 印加電圧の約半分の値になります。
SIG+ SIG- ロードセルの出力電圧 ロードセルの定格、実荷重および印加電圧から求まる理論値との比較をします。
印加電圧が5Vなら0~15mV
印加電圧が10Vなら0~30mVの範囲が普通です。

2. 侮りがたし、圧着端子

 ある日お客様から、「A&D製のロードセルを何本も購入したが、ロードセルケーブルに触れるだけで表示値がばらつくものがいくつもある。」との電話がありました。 弊社のロードセルは厳密な動作チェックの上で出荷しているので、そんなに大量の不具合が一斉に発生する訳がないと思いながらも、お客様にいろいろ使用状況について尋ねました。

 しかし、いくら質問をしても原因と思われる点が見つからず、弊社のサービス担当者がお客様を訪問することとなりました。 サービス担当者は「確かにケーブルに触れるだけで表示値が変化する。しかし、不思議なことに端子台から遠いところを触ると影響が少ない。」と連絡をしてきました。 さらに、「圧着端子を使わずに直接ロードセルを端子台に接続すると正常になった。」とのことです。 「おかしい。圧着端子で表示値が変わるはずはないのに・・・」 その後さらに状況を聞いてようやくわかりました。使用している圧着端子がロードセルケーブルの導体の太さと合っていませんでした。 そのため、ケーブルを触れると接触抵抗が変化して、表示値に影響を与えていたのです。

 ロードセルに電源を印加するEXC端子の接触抵抗が増加すると、ロードセルの感度が下がったのと同じことになります。 ロードセルの入力抵抗は350Ωのものが多いのですが、そのわずか0.01%の35mΩだけ接触抵抗が増加しても、ロードセルの出力は0.01%低下してしまいます。 そのため、今回の例のようにサイズが合わない圧着端子を使用することは危険なのです。

 市場でのトラブルの対策は、最初に正確な情報を掴むことが大切なのですが、私も圧着端子のケーブルサイズまではすぐに考えが及ばず、解決までに時間を費やしてしまいました。

 圧着端子は本来安定した接続ができる便利な部品です。 しかし、誤った使い方をすると、その場は問題がなくても何年か後に金属表面の酸化などで思わぬトラブルを招く可能性があります。 圧着端子は形状や穴径のほか、接続するケーブルに合わせてさまざまな種類があります。ケーブルに合った圧着端子を使用するとともに、圧着工具も適切なものを使用してください。

圧着端子

3. ウェイングインジケータのひょう量や最小目盛の設定を変えると、再キャリブレーションが必要か?

 「ロードセルとインジケータを組み合わせて計量器を作ったが、その後、計量器のひょう量を増やす必要が生じ、インジケータのひょう量の設定を変えたい。そうすると、再キャリブレーションが必要か?」という内容のお問合わせを頂くことがよくあります。

 大型のサイロや自動計量器などで、分銅の載せ降ろしが困難なことが理由のようです。 このようなケースでは、大抵は再キャリブレーションせずに済ませることができます。

 ひょう量を数%増やす程度であれば再キャリブレーションしなくてもほとんど支障はありません。これは、インジケータやロードセルの直線性が十分にあるため、数%のひょう量の変更程度ではほとんど誤差が生じないからです。 また、ウェイングインジケータのキャリブレーションは、表示される目量よりもさらに細かい内部目量により行われ、そのデータを不揮発性メモリに記憶します。そのため、最小目盛を後から変更しても、ゼロ点やスパンはそのまま維持されます。

 なお、計量器に何か変更を加えた場合、再キャリブレーションした方が好ましいのは事実です。またひょう量の設定を増やしたことが機械的強度不足などの事故の原因にならないよう注意が必要です。